近畿大学図書館司書 通信課程 合格レポート

2020年度 近畿大学で図書館司書資格を取得した体験記

【図書館情報技術論】近畿大学図書館司書通信課程 合格レポート

設題

 図書館を最大限に活用するため、または利用を円滑にするためにはどういった情報技術に着目し、理解を深めるべきか。自身の意見を含めて論じて下さい。

 

レポート作成上の注意事項

  •  本文を1,900字以上を書くこと。2,000字に近いほど良い。
  • テキストに記載されている内容の情報技術を挙げること。
  • 上記に加え、テキストには無い情報技術を挙げてもよい。例えば、自身の仕事で使用している情報技術や使用経験がある技術等。

 

総評基準

  •  レポート作成上の留意事項・ポイントが守られているか。
  • 論文の基本的な構成(書式、章立て、文体の統一、見出し、引用)が考慮されているか。
  • テキストや参考文献の内容の理解度を判断する。
  • レポ―ト作成者独自の着眼点も評価する。

 

★合格レポート★

 図書館を最大限に活用し、円滑に利用するために着目すべき情報技術について

 

1. 序論

近年、情報の電子化と情報技術の活用により、図書館の運営やサービスを効率的に行えるようになり、それを基盤として専門的なサービスを行うことが可能となってきた。そこで本論では、図書館を最大限に活用し、円滑に利用するという観点から、どのような情報技術に着目し、理解を深めるべきなのかについて述べる。

 

2. 図書館を最大限に活用するために

 公共図書館は、図書、雑誌、新聞等の出版物を収集・保存し、様々なサービスを通じて人々に提供するという役割があるが、利用者に図書館を最大限に活用してもらうためには、図書館が利用しやすいものでなければならない。利用しやすさてゃ、すなわち資料の入手しやすさであり、求めている資料を円滑に検索し、速やかに入手できるようにすることが、図書館を最大限に活用してもらうことに繋がる。そのためには、図書館の情報技術への理解が必要となる。以下にその代表例を示す。

 

3. 図書館を円滑に利用するために着目すべき情報技術

 

3.1 オンライン蔵書目録検索システム(OPAC

 OPACは、検索画面で検索語を入力するだけで、その検索語にヒットした図書の書誌事項と所蔵場所、貸出状況を検索できる。複数の語をかけあわせて検索できるため、カード目録と比べて検索精度が増した。また、ウェブ上で利用できるため、利用者が場所にとらわれずに利用することができ、利便性が飛躍的に向上した。

 

3.2 貸出・返却システム

 利用カードと図書のバーコードを読み込むことにより自動貸出を行う。貸出・返却手続きを効率化し、レファレンスサービス等のより専門的なサービスを充実させることが出来るようになった。

 

3.3 ICタグ

 物体識別用のICチップを埋め込んだタグをICタグという。ICタグはバーコードに代わって、近年利用され出した技術である。バーコードの場合は、読み取り機を一冊一冊押し当てて認識させなければならないが、ICタグは電波で情報を読み取るので、直接触れずに大量の図書の貸出・返却処理を一度に行うことができるため、業務を効率化、省力化することができる。また、図書館のゲートにICを読み取る機能を付与すれば、ゲート通過時に自動的に貸出処理ができるので、自動貸出機を通す必要もなく、利用しやすさの向上につながる。

 

3.4 デジタルレファレンスサービス

 メールや図書館のウェブサイトでレファレンス質問を受け付けるサービスで、利用者が来館せずにレファレンスサービスを受けることができる。また、利用者から問われることの多い資料や情報は、パスファインダーとして公開している。何度も同じレファレンス業務を行う必要がなくなるだけでなく、レファレンス事例を公開・共有することで、利用者が資料を探しやすくなり、レファレンスサービスの利用促進にもつながる。

 

3.5 オンラインデータベース

インターネットを経由して利用できるデータベースのことで、図書館がデータベースの提供業者と利用契約を結び、利用者はIDとパスワードを入力することで図書館内のパソコンからデータベース上の情報を検索、閲覧できる。

 公共図書館では多くの場合、図書館内からの利用に限られるが、大学の場合はVPNを利用して外部から利用することも可能である。速報性、専門性が高い情報を容易に検索、入手することができ、学術・研究に役立っている。

 

3.6 電子ジャーナル・電子書籍

 デジタル化された雑誌を電子ジャーナル、デジタル化された書籍を電子書籍という。来館せずに資料を閲覧することができる点が最大の利点である。また、印刷工程が要らず、冊子の輸送の必要もないことから、出版から利用までの時間を大幅に短縮できる。さらに、物理的な保管場所を確保する必要もなく、破損・汚損の心配もない。

 

3.7 デジタルアーカイブ

 重要文化財のような貴重な資料は、入手が困難な上に閲覧制限がされているものが多いが、こうした資料をデジタル化しインターネット上で公開することで、手軽に貴重な資料を閲覧することができる。来館せずとも閲覧が可能であり、原資料の保管という観点からもデジタルアーカイブは有用な技術である。

 

4. 結論

 以上のように、図書館を利用しやすくするための情報技術は多く存在し、利用者はこれらの情報技術を活用することで、書籍や雑誌記事等の書誌情報を知ったり、知りたい情報を入手することが容易にできるようになった。また、図書館側においては業務の効率化に加え、インターネット上で情報を公開・発信することが可能になった。

 しかし一方で、インターネット利用環境を持たなかったり、情報を探し出し、活用するための情報リテラシーが不足している人も少なくない。

 図書館の基本的な役割は、様々な出版物を収集・保存し、人々に提供するということに変わりはないが、これに加えて、インターネット等の電子情報へのアクセスを提供すること、電子情報を発信、或いは保存すること、住民に情報リテラシー教育を行うこともまた新たな図書館の役割として求められている。

 

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