【情報資源組織論】近畿大学図書館司書通信課程 合格レポート
設題
1.カード目録の構成要素を、(1)記述(書誌記述)、(2)標目、(3)標目指示、(4)所在記号の4項目に区分して、その概要(意味、目的、種類や構成、記録上の留意点など)について論述してください。(1000字)
ヒントとなるキーワード:<既知資料検索、未知資料検索、標準化、典拠コントロール>
2.図書館では、利用者が求める情報資源(資料)にたどり着くために、目録や図書資料の背ラベルの他、館内のいろんなところでNDC(日本十進分類法)の分類(分類記号や分類項目)が表示されています。
(1)実際に地域の図書館(公共図書館)に立ち寄り、分類表示について調査し、その概要をまとめてください(箇条書き可)。尚、ここで取り扱う情報資源は、“紙メディア”とする。
(2)(1)の調査結果や、テキストなど関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。(1000字)
ヒントとなるキーワード:<書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>
<調査項目・調査方法の一例>
調査対象の図書館の名称の記入。
NDCの分類記号の表示がある場合は(1)場所(もしくは物の名称)、(2)目的、(3)方法(記号の表示例)、またNDCの分類記号の表示がない場合は(1)場所(もしくは物の名称)、(2)表示がない理由、(3)方法(記号の表示例)について調査する。
上記内容から、特徴や特に気になるケースを洗い出し、概要としてまとめる。
※調査項目・調査方法は、当テーマに関わることであれば自由に行ってください。
レポート作成上の注意事項
- 設題は2つあります。指定された字数の中で、両者の回答内容がほぼ同じ位の分量(文字数)になるように心がけましょう。
- テキストをもとに、まず情報資源組織の目的や意義を理解した上で、レポートの作成に取り掛かってください。
- 設問1では、「カード目録の構成要素」に集中しましょう。特定の目録規則についての解説や記録内容にかかわる詳細な説明、OPACの構成要素との比較検討はここでは控えめにしてください。
- 設問2では、「NDCの分類記号がどのように活用されているか」、「何故、分類が必要なのか」、「書架分類と書誌分類の違い」について考えてください。NDCの歴史(成立背景)、分類作業の手順、分類項目、分類規定に関わる詳細な説明は控えめにしましょう。
- 誤字や脱字に気をつけましょう。特に、テキストで用いられている基本的な用語の誤字が目立ちます。書いた内容を再度読み返し確認するようにしましょう。
- 論文の構成を考慮した論述を心がけましょう。
<レポート作成における留意点>
①前置き部分[「序論」もしくは「はじめに]
⇒何故、このテーマを取り上げるのか明確にすると尚良い
②本論部分
⇒できるだけ自分の言葉で要点をわかりやすくまとめる(文章すべてがテキストの丸写しにならないように!)
③結論部分[「結論」もしくは「おわりに」]
⇒本論で得た情報をもとに、結果として何を学んだのか明確にする(設問I、設問IIそれぞれのまとめ+自己の私見)、具体的には、設題の内容を参照してください。
総評基準
当科目における評価の基準は以下のとおりです。
- カード目録の構成要素4項目や、分類(法)の意味、書誌分類と書架分類の違い・設題でヒントとして提示したキーワードの意味を理解した上で、それらをすべて使って解答していること。
- 論文の構成を考慮した論述になっていること。⇒上記、<レポート作成における留意点>を参照
- 得た情報をもとにどれだけ理解しているのか、自分の言葉で表現していること。
- 設問I、設問II、それぞれの説明に対する分量のバランスが取れていること。
- その他、「レポート設題集」に記載されているレポートの書き方に関する諸注意をよく読み、表現上の注意(改行した場合は1字下げとするなど)に気をつけて書いていること。
★合格レポート★
1. 序論
図書資料に関する代替物を整理し、検索可能としたものを目録という。目録カードの概要を記述、標目、標目指示、所在記号という四つの構成要請に分け、その概要を述べる。
2. 目録カードの構成とその概要
(1)記述
目録カードの中心部に記載され、資料のタイトル、著者、版次、出版年、ページ数等の情報から構成される。
記述は、既知資料検索と未知資料検索に対応しつつ資料が自身の求めるものかどうかを同定するためにある。表示されているままの字体等を使用する「転記の原則」に従う他、国際標準書誌記述(ISBD)を踏襲する必要がある。
(2)標目
目録カードの記述の上部に記された検索用の見出しを標目といい、タイトル標目、著者標目、主題標目がある。標目は、資料を発見する手がかりとしての役割があり、タイトルがわかっている場合にはタイトル標目を、著者名がわかっている場合にには著者標目を用いる。タイトルも著者名もわかっていないような未知資料検索には、主題標目を用いる。
一つの資料に対して複数の標目を付した目録カードを複数枚作り、目録カード・ボックスの所定の位置に排列する。
(3)標目指示
目録カードの記述の下部にあり、対象資料が必要とする標目を一定の形式で一覧できるようにしたものを標目指示という。対象資料がいくつの標目が必要なのかを一目でわかるようにしたもので、記載の誤りや資料の除籍によってカードの訂正・除去が必要になった際に用いる。
このカードを作成するときは、まず標目のないカードを作り、このカードを標目指示の数だけ複写し、標目指示に従って各カードに標目を入れていく。
(4)所在記号
所在記号は、一般的に図書資料の背ラベルに貼られる記号で、目録カードでは記述の左端に記入される。日本では日本十進分類法(NDC)に則って付される。所在記号には、書架上に主題に基づいて体系的に排架するための書架分類記号、同一分類記号の資料をグルーピングするための図書記号、資料を個別化するための補助記号、書架分類記号とは異なる基準で排架するための別置記号がある。資料はこの所在記号の順に排架されるので、目録カードの所在記号を見れば、目的とする資料に確実に辿り着くことができる。
3.まとめ
今日、多くの図書館でOPACが普及しているが、かつては目録カードによる検索が主であった。OPACのメタ・データという書誌情報は目録法に則って記録、編成されるため、このような目録カードの理解が必要不可
欠である。
1035字
参考文献
1. 柴田 正美、高畑 悦子著 「情報資源組織論」 日本図書館協会 2020年
2. 田窪 直規 編著 「情報資源組織論」 樹村房 2019年
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1. 序論
NDCは、日本の図書館で広く使われている図書資料の分類法である。図書館では、目録や図書資料の背ラベルの他、多様な場所でNDCの分類が使われている。実際に地域の図書館において、分類表示がどのように使われているのか調査した。
2. 調査結果
調査対象:〇〇〇〇〇図書館
目的:図書資料の背ラベル等を観察し、NDC分類表示を確認する。
①書籍背面
背ラベル:338.1 ス
NDC33「経済」、8「金融・銀行・信託」、1「金融市場・資金」、ス「著者名の頭文字が”ス”のグループ」に分類されていた。
②書棚の側面
書棚の表示:3社会科学 31政治
NDC30「社会科学」、31「政治」に分類される資料がある棚であった。
③NDCの記号表示がないもの
背ラベル:/E7/ワ/
児童書の絵本コーナーの、著者名の頭文字が”ワ”のグループに別置されていた。
図書資料は、NDCを用いて主題別に分類されており、同一分類記号の資料は、著者名の頭文字を図書記号としてグルーピングされていることがわかった。
児童書や紙芝居など特殊な資料は、別置記号を使って排架され、探しやすいように工夫されていた。
書棚にNDCの表示と共に分類名が表示されており、どのような主題の資料があるのか、一目でわかるようになっていた。館内全体のマップはなかったが、OPACで資料検索をすると、資料の所在場所がマップで表示され、分類記号に馴染みがない者でも一目でわかるようになっていた。
3. まとめ
NDCは請求記号として資料を書架に並べる際の書架分類と、検索や蔵書管理のための書誌分類という2つの機能を有している。
書架分類とは、資料を主題に基づいて体系的に排架する分類法をいう。同様な主題の資料を近い場所に排架しておくと、利用者が本を探すときに便利である。ただし、書架分類では分類記号をただ一つしか与えない。
一方、書誌分類とは目録データ上に記載される書誌上の分類法をいう。分類記号は長くなってもよく、一資料に対して複数の書誌分類を与えることもできる。
NDCを用いると、確実に目的の資料に辿り着くことができるだけでなく、その前後に関連資料を見つけることができる。また、Web上で図書館の蔵書を探す際にも、分類記号を辿って目的の資料を探すことが容易になる。このようにNDCは、資料を探し出す際の手がかりとして重要な役割を果たしている。
1048字
参考文献
1. 福永 智子著 「大学図書館における書架分類の現状と問題点」 椙山女学園大学研究論集第35号(人文科学編) 2004年
2. 田窪 直規編著 「情報資源組織論」 樹村房 2019年