近畿大学図書館司書 通信課程 合格レポート

2020年度 近畿大学で図書館司書資格を取得した体験記

【児童サービス論】近畿大学図書館司書通信課程 合格レポート

設題

児童サービスのもつ意義について述べなさい。また調べ学習や読みたい本を探している子どもに、司書としてフロアワークでどのような働きかけをすればよいかを述べなさい。さらに、子どもたちが将来の図書館のファンになるために、司書としてどのように取り組むかを述べなさい。

 

レポート作成上の注意事項

  •  1,900字以上書くこと。
  • まずテキストをよく読み、その後、参考文献で肉付けすること。
  • 必要以上のコメントや感想は避ける。
  • 参考文献は必ず挙げること。

 

総評基準

  • 設題の趣旨を十分に理解して書いているか。
  • テキストや参考文献をよく読んで書いているか。
  • 構成をきちんとしているか。(筋道を立てて書けているか。)
  • テキスト以外の参考文献等の学習ができているか。

 

★合格レポート★

1.  はじめに

 昨今、子どもの読書離れの現象が進んでいると言われています。 

 子どもの読書離れの一因は、大人が読書をしなくなっているからです。少し前までは、電車の中では、読書をしている大人がたくさんいたものですが、今はスマートフォンを視聴している大人がほとんどです。

 しかし、このような映像媒体には、暴力的なものや性的な描写があらわになっているものがかなり含まれています。人間は、こうした安易で気楽、刺激的な方へ流されやすいので、幼い頃からこうした映像資料に浸った生ます。人間は、こうした安易で気楽、刺激的な方へ流されやすいので、幼い頃からこうした映像資料に浸った生活を送ってしまった子どもを、活字の世界へ誘おうとしても難しくなります。

 子どもに読書の楽しみを教え、想像力と内面の豊かさを育むために、児童サービスの意義と司書の役割について述べます。

 

2.  児童サービスのもつ意義について

 子どもに読書の喜びを知ってもらうために、公共図書館が行う「子どものための図書館サービス」を、総じて「児童サービス」と言います。

 つまり、子どもが読書をすることの意義を理解し、子どもと本を結び付け、読書の楽しみを伝え、それが子どもに定着するようにすすめ励ます様々な活動、工夫や配慮のことです。

 子どもは地域の図書館とその蔵書を利用していると、図書館の本は皆で共有しているものであるということに気づいてきます。子どもは読書を通して、社会というものに気づき、それらとつながっているという感覚が養われてきます。これが、児童サービスのもつ、見えない社会的意義です。

 また、子どもは読書の楽しみを知ると、自分で図書館へ通うようになります。そのうちに、自分の居場所を見つけ、そこが自分の図書館だという気持ちが強くなります。自分の図書館だという気持ちが芽生えると、そこを大事にしよう、決まりを守ろうという気持ちになります。こうした気持ちが、公共性の理解につながります。

 

3.  フロアワークでの働きかけについて

 図書館のカウンターからフロアに出て、一人一人の子どもに対して、それぞれの要求に応える活動をフロアワークと言います。

 子どもに読書の楽しみを知ってもらい、適切な本を手渡すため、困った様子の子がいれば声をかけ、図書館の使い方や、本の探し方を教え、本を探している子には、本の内容を紹介したり、小さい子には読み聞かせてあげることもします。

 フロアワークを成功させるには、日頃から子どもがどのような読書をしているか知っておくこと、ブックトークをする準備をしておくこと、子どもとの間に信頼関係を築くようにしておくことが大切です。

 子どもが調べものの相談をしてきたときには、子どもの目線に合わせてじっくりと向き合って、調べものの内容を明確にし、解決のための本や資料について、調べ方の手順を教えます。調べること、調べたらわかるという喜びを、子ども自身が実感できるようにサポートします。

  ヤングに対しても、子どもに対するのと同じように親切丁寧に対応するのは同じですが、ヤングを子ども扱いしたり、そのような言葉遣いをしないように留意します。

 

4.  子どもたちが将来の図書館のファンになるために、司書として出来ること

 司書は、図書、各種資料に関する知識を持ち、子どもの読書の意義を理解し、読書が子供に及ぼす影響などを熟知し、個人や社会の要求を知り、それを還元できるようでなければなりません。

 フロアワーク、読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、アニマシオン、レファレンス、読書案内、行事、文化・集会活動、乳幼児サービスといった、直接サービスを通じて、子どもに本に対する興味関心を抱かせ、読書の楽しみ・喜びを伝えます。

 また、児童書を分類に従って書架上に一定のルールで、その順序に並べ、整理整頓をします。子供の目の高さに配慮して、平面展示をしたり、書架の空き空間に紙人形を置いたりして、子どもの目を引くようなしかけをし、子どもと本との出会いを演出します。

 季節やテーマにちなんで、別置で展示したり、ブックリストやお便りを作って、子どもと本を結び付けるような働きかけを行います。

 幼い子どもはみんなで集まって何かをするのが好きなので、パネルシアターやエプロンシアター、ペープサートなど、集団で子供が活き活きとするイベントを行い、子どもが「本を読むこと」へのきっかけ作りをします。

 学校を訪問し、読み聞かせやストーリーテリングをする際には、公共図書館の場所や利用方法を紹介し、公共図書館へ足を運んでもらうように働きかけます。

 

5.  まとめ

 子どもの読書には、「楽しみ」という要素が最も大切になります。その楽しみや喜びが感動につながっていきます。そのような積み重ねが人間形成に大きな影響を与えているといっても過言ではありません。

 本との出会いは、いつでも、どこでも、だれでも、時間さえあれば出来ることです。そのような本との出会いを手助けすることが、図書館員として大切な仕事の一つです。

 

2019字